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CADで崩壊イメージを作る代わりに、3ds Maxでアニメにしてみた
2026-05-29
4月のCUG徳島分会で、Tidepool Studioさんの3ds Max活用事例を聞いてから、ずっと気になっていました。「落石や水位変動のような自然現象の表現に使えそう」と感じたあのセッションから約1ヶ月。手元で護岸の崩壊アニメーションを試作してみました。
なぜ作ろうと思ったか
護岸の崩壊メカニズムを説明する場面では、これまでCADで1シーンずつ静止図を作り込んできました。崩壊前、洗掘途中、護岸が傾いた状態、折損、崩壊完了——縮尺を合わせて、形を整えて、線を引いて。それを場面の数だけ繰り返す。意外と面倒な作業です。
「動きで見せられたら、もっと伝わるのに」とは思いつつ、ハードルが高そうで手を出していませんでした。CUGのセッションは、そのハードルを下げてくれたきっかけでした。
作ってみたら、思ったより簡単だった(凝らなければ)
実際に触ってみると、想像していたほど大げさな話ではありませんでした。
モデルはかなりシンプルです。護岸をざっくり直方体で表現して、地盤を変形させながら動かしただけ。リアルさは求めていません。それでも、洗掘が進んで護岸の足元が抜け、そのまま折損していく流れは、十分に伝わる絵になりました。
シーンとしては、初期状態 → 洗掘の進行 → 護岸の傾き → 大規模洗掘 → 折損 → 崩壊完了、という6〜7シーンの構成です。時間で言えば、CADで同じ枚数の静止図を作り込むのと、そんなに変わらないというのが正直な感想でした。作業としては、一連のアニメーションとして作るので同じ様な線を何度も引くCADでの作業より楽な気がします。
今回の打合せでは、アニメーションではなく紙で説明しました。
実は、この打合せでは動画は流しませんでした。アニメーションから必要なシーンを抜き出して、紙に貼り付けて説明に使いました。
打合せの場面や相手によっては、ノートPCを開いて動画を再生するより、紙の資料を指差しながら話したほうがテンポがいいことがあります。
それでも、3ds Maxで作っておいてよかったと感じたのは、説明に使うシーンを「選ぶ」だけで紙資料が出来上がるという点です。
CADだったら、紙に貼る分も含めて1枚ずつ作図しないといけません。後から追加するときは面倒くさくて、もういいやと思ってしまうこともあります。
今回はアニメーションを一度作っておけば、必要なフレームを抜き出すだけで済みました。
「動画を作ったのに動画を使わなかった」のではなく、「動画を作ったから、紙資料が早く揃った」という感覚です。
動画として使う場面は、また別にあるはず
今回は紙で済みましたが、護岸の折損のように動きでしか伝わらない場面があるのも事実だと思っています。場面と相手次第で、動画として見せる出番は出てくるはずです。そのときに使えるツールが手元にある、という状態を作れたこと自体が、今回の試作の収穫でした。
まとめ
「凝らなければ」という条件付きではありますが、説明用のアニメーションは思っていたよりも実務に乗せやすい、というのが今回の試作での感触です。
動画として使わなくても、好きなシーンを選んでスクショして貼り付けるという作業が効率的なことも意外な発見でした。
加納
UAVレーザ測量の導入・運用コスト
2026-05-28
前回の記事『効率化に対する費用の考え方』で、「効率化=安い」ではなく、機材・運用・処理にコストが乗り換わっているという話を書きました。今回は、そのコストの中身を具体的に整理してみます。
UAVレーザ測量の見積に含まれる費用は、計測作業の人工だけではありません。計測を1回実施するたびに、以下のような固定費が乗っています。
導入コスト(減価償却)
まず、機材そのものの費用です。
- ドローン本体:100万〜500万円
- レーザ計測装置:500万〜3,000万円
合計で最低600万円、上位機種では3,500万円規模になります。これを5年で減価償却し、年間の計測件数で割ったものが、1業務あたりの機材費として乗ってきます。
メンテナンス・定期点検
機材を正確に使い続けるためには、定期的なメンテナンスと点検が欠かせません。
ボアサイトキャリブレーション(年2回)
ドローンと計測装置のズレを点検・補正する作業です。現場作業(3人×0.5日)と内業(1人×0.5日)を年2回実施します。年間で約20万円のコストになります。
機体メンテナンス(年4回)
これは機体や認識によって全く変わってくると思いますが、機体の点検・整備を年4回とします。人件費だけ年間で約5万円程度見込んでみます。
ソフトウェアのランニングコスト
点群処理や解析に使うソフトウェアは、年間ライセンス制のものが多く、ソフトによって全く違いますが、年間で約100万円程度のランニングコストがかかるとします。
保険
賠償保険:年間約2万円。飛行中の事故に備えた第三者賠償保険です。
機体保険:年間100万〜230万円。機体の損害や修理費用をカバーするもので、高額な機材を保有するうえで必要になります。本体価格の約9%と言われています。
パイロット資格・教育
国家資格(2等)の取得費用は1人あたり約30万円。資格者を継続的に確保するために、年間1人程度の教育コストが発生します。
年間の固定費としてまとめると
| 項目 | 年間コスト |
|---|---|
| 機体減価償却(100〜500万、5年) | 20万〜100万 |
| レーザ計測装置減価償却(500〜3,000万、5年) | 100万〜600万 |
| ボアサイトキャリブレーション | 20万 |
| メンテナンス | 5万 |
| ソフトウェアランニング | 100万 |
| 賠償保険 | 約2万 |
| 機体保険 | 100万〜230万 |
| パイロット教育 | 30万 |
| 合計 | 約377万〜1,087万 |
年間20回の計測を行う場合、1回あたり約19万〜54万円の固定費が計測作業の人工とは別に見込む必要があります。国土交通省の歩掛では回数ではなく面積で機械経費を見ているので、これと比較できませんのでご注意ください。
特に厳しいなと思っているのが機体保険です。 相場が本体の9%程度と言われていて、100万~230万です。月当り8万~20万程度必要になります。4000万~1億ほどするグリーンレーザだとさらに高く年間360~900万かかります。月当りでも30~70万の経費がかかるので、かなりの費用になります。しかもこれは減価償却や人件費と違って、直接外に出ていく費用です。
かといって、場合によっては家1軒分以上の値段のレーザー計測機をぶら下げていることを考えると、保険には入っておいたほうが良いと思います。
「現場が早く終わった分」はどこへ行ったか
UAVレーザ測量で現場作業が半日で終わっても、こうした固定費は変わりません。「現場が早く終わった分」は、機材・保険・資格・処理ソフトの費用として、見えないところで支払われています。
見積の金額だけを見れば、従来の地上測量と比べて高く感じることもあるかもしれません。ただ、その裏にはこれだけの費用構造があります。
現場作業を見ると手軽に見えますが、見えない内業の時間や今回の固定費があり単純に安くできるということではありません。
加納
効率化に対する費用の考え方——「早い=安い」ではない
2026-05-27
先日のブログ記事『UAVレーザ測量を選んだ理由』で、見積を「高い」と呼ばれた打合せのことを書きました。
今回はその続編として、効率化に関するもう少し一般的な「勘違い」について書いてみたいと思います。
新しい計測技術や情報技術の話になると、よく聞かれるのが、
「ドローンを使えば早くて安くなるんでしょ?」
「AIを使えば業務が短縮できて費用も下がるよね?」
「BIM/CIMにすれば、図面修正も楽になるんだから安くできるよね?」
という類の質問です。早い・楽・自動化=安価、というイメージで結びつけられがちです。
しかしこれは、効率化に対する誤解の典型だと思います。
効率化されているのは「現場作業」だけ
たしかに、現場での作業時間が劇的に短くなった技術は多くあります。
UAVレーザ測量なら、何日もかかっていた地上測量が半日で終わります。SLAM計測なら、機材を持って歩くだけで点群が取れます。BIM/CIMモデルがあれば、関係者との打合せが直感的に進みます。
けれども、それは「現場作業」が短くなっているだけで、業務全体の総コストが下がっているわけではありません。新しい技術には、機材・運用・処理それぞれに固有のコストが乗ってきます。たとえばドローン本体の導入コストは100万〜500万円、UAVレーザに使うレーザ計測装置は500万〜3,000万円。これを減価償却しながら1業務ずつに充てていくことになります(詳細は別記事で書きたいと思います)。
つまり効率化とは、「現場作業のコストを、機材・教育・処理側に置き換えている」とも言えます。総量として安くなっているわけではありません。
「早く取れた」のあとに、いちばん時間がかかる
特に誤解されやすいのが、データ取得後の処理工程です。
たとえばUAVレーザ測量では、計測そのものは1日で終わっても、その後の点群処理、フィルタリング、3次元設計データに使える形への整形に、計測時間の何倍もの時間がかかります。
SLAM計測も同じで、歩いて取れた点群を、後工程で使えるようにすり合わせるのが本当の仕事です。
「早く取れた」のあとには、必ず「使える形に整える」工程が控えていて、そこに技術者の時間と判断が乗ります。前回の記事で書いた歩掛の「その他データ」が高い理由も、まさにこれです。
効率化とは、費用の中身が変わること
効率化された技術には、たしかに価値があります。
- 設計や施工の検討を、早期に着手できる(フロントローディング)
- 従来は取得できなかった範囲や精度のデータが取れる
- 関係者との合意形成が早まる
- 安全性や再現性が高まる
こうした新しい価値を引き出すためには、新しい投資が必要です。機材、人材、ソフトウェア、判断のための経験——どれも、ただ「早くする」ためだけのものではなく、「より高い品質を出すため」のものです。
効率化とは、「同じ仕事を安くやる」ことではなく、**「投資の中身が変わることで、新しい価値を生み出せるようになる」**ことだと考えています。
「効率化したから安くしてくれ」ではなく、「効率化したから、こういう新しい価値を出せます」という会話に変えていく。そのためにも、技術を提案する側が、費用の中身を一つずつ丁寧に説明していく必要があると感じています。
加納
UAVレーザ測量を選ぶ理由——「見積が高い」と呼ばれた打合せから
2026-05-26
先日、ある業務で提出した見積について「金額が高い」と発注者から打合せに呼ばれました。
業務はICT活用工事の一部で、当社が担当しているのは3次元点群測量です。点群を取得して、別会社が3次元設計データを作成するという役割分担になっています。見積に挙げたのはUAVレーザ測量で、より安価なUAV写真測量と比較すると確かに割高に見える金額になっていました。
打合せで話をしてみると、発注者が求めていたのは「値段を下げてほしい」ではなく、「なぜUAVレーザを選んだのかが資料に書かれていない」ということでした。判断材料が不足していた、ということです。
3次元設計データ作成会社からの提案理由
UAVレーザを採用したのは、3次元設計データを担当する会社からの提案でした。打合せでは、同席した3次元設計データ作成を担当する会社さんが、その理由を次のように説明しました。
通常の3次元起工測量では、伐採をしてからUAV写真測量を行うのが一般的な流れです。ただし今回は伐採範囲が広く、10,000m2以上。伐採を待つと2か月後になり、3次元設計データの作成も2か月後からの着手になってしまいます。
設計データの検討を初期段階から進められるよう、植生下も計測できるUAVレーザ測量を採用したい、というのが提案の趣旨でした。国土交通省が進めるフロントローディングの考え方とも合います。
また、施工に向けてパイロット道路や仮置き場を検討するうえでも、現場全体の3次元データが早期にあれば、検討が早まるというメリットがあります。
つまり、UAVレーザを選んだのは「安いか高いか」ではなく、「設計と施工準備の着手を早めるための投資」だったということです。これを説明したところ、見積そのものについては理解をいただき、「計測範囲を一緒に詰めていきましょう」という前向きな展開になりました。
歩掛の項目名と、実態のズレ
同じ打合せで、もう一つ指摘を受けました。
「オリジナルデータの作成より、その他データの作成の方が高いのはなぜか」
これも、名前だけ見れば違和感のある内訳だと思います。「オリジナル」と聞けばメインの成果物、「その他」と聞けば付随的なものを想像するのが自然です。
しかし、UAVレーザ測量における実態は逆で、
- オリジナルデータ = 計測した生データを解析し、点群を出力する作業
- その他データ = 後工程(設計・施工)で利用できる形に整える作業
であって、後者の方が「どこをどう加工すれば現場で使えるか」という判断と経験を要し、手間も技術的難度も大きくなります。
最初は「解せない」と言われていたこの点も、内訳の意味を説明したところ理解していただけました。
丁寧に伝えれば、伝わる
今回の打合せで感じたのは、発注者は決して「安くしろ」と言っているわけではなく、「なぜそれが必要なのか、なぜその金額なのかを納得したい」と言っているということでした。
UAVレーザという選択にも、歩掛の内訳にも、ちゃんと理由があります。その理由を一つずつ説明すれば、高い見積でも納得していただける。むしろその先で、「ではこういう範囲でやりましょう」と、より良い協議に進むことができます。
提出資料に説明を一行加えるだけで、こうした打合せの流れは大きく変わります。当たり前のことかもしれませんが、改めて意識しておきたいと感じた打合せでした。
加納
熱中症は「休めば治る」ではない──死亡事例と後遺症の話
2026-05-25
これも労働局の方による安全衛生の講演で聞いた話です。熱中症の事例と後遺症の説明を聞いて、率直に怖いと思いました。
事例:「大丈夫」を信じた結果
講演で紹介された事例はこういうものでした。
除草作業中、作業員の一人にめまいや吐き気の症状が出た。監督者は冷房の効いた休憩所で休ませ、飲み物を手渡して「また戻ってくる」と告げて現場作業に戻った。10分ほどして確認に戻ると、作業員は横になっており、体調を尋ねると「大丈夫、もう少し休んでから戻る」と答えた。監督者は安心して、室温を少し下げてから再び現場へ。20分後に戻ると……という死亡事例の話でした。
この事例で問題とされていたのは、「本人が大丈夫と言った」という言葉を信じて一人にしたことです。熱中症が重症化していても本人は迷惑をかけまいと無理をしていることがある。冷房をかけてほしいとお願いされたとき、自分で冷房を操作できないほど悪くなっていた。助けるタイミングが必ずあるので、それを見落とさないでほしいという話はとても怖く印象に残りました。
後遺症:熱中症は臓器にダメージを残す
熱中症を「暑さで体調が悪くなる、休めば治る」と思っている人は多いと思います。私もそうでした。しかし労働局の方の話では熱中症の後遺症はとても重いんだそうです。
熱中症の症状として横紋筋融解症が起きることがあります。これは激しい筋肉へのダメージによって筋組織が崩壊する状態で、崩壊した筋組織の成分が大量に血液中に流れ込む。腎臓はそれを解毒しようとしますが、量が処理能力を超えると腎機能が障害される、という流れです。
脳障害(小脳)についても後遺症として残るケースがあると説明がありました。詳細なメカニズムまでは聞き取れませんでしたが、「熱中症で助かっても、その後の生活に影響が出ることがある」という話は、休めば治るという認識を大きく書き換えるものでした。
ドローン・SLAM作業と熱中症リスク
聞きながら、これは他人事ではないと思いました。
ドローンの飛行に向いた作業条件は、風がなく晴れた日です。つまりこれからの時期、暑い日に作業することが多くなります。しかもドローン計測やSLAM計測は、広い範囲を動き回る作業です。機材を持って現場内を歩き続ける。これを、暑い日に、日陰のない屋外や斜面でやることになります。
熱中症リスクは高いので注意しないといけません。でも、最近の温暖化でどんな屋外作業でも熱中症リスクは高いかも知れません。
講演を聞いて思ったこと
講演を聞いて思ったことを書いておきます。
一つは、症状が出た人を一人にしない、ということです。「大丈夫」という言葉をそのまま受け取らない。少なくとも、定期的に声をかけられる体制を確保する。
もう一つは、シンプルですが、無理をしない。そして無理をさせない。
そして知らないことが最悪の事態につながることがあるので、こういった事例を知ること、やるべき対策を知っておくことが大事だと思いました。
熱中症は、重症化してからでは取り返しがつかない。そのことを講演で改めて知りました。
加納








