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LidarSLAMの公共測量マニュアルが改定されました(令和8年3月)

2026-04-22
国土地理院が公表している「LidarSLAM技術を用いた公共測量マニュアル」が、令和8年3月に改定されました。
令和7年3月版からの変更点を新旧対照表で確認したので、実務に関係しそうなところを整理しておきます。

(1)「機器」から「測量システム」へ概念が整理された

旧版では機器・ソフトウェア・解析処理をまとめて「LidarSLAM機器」と呼んでいましたが、新版では**「LidarSLAM測量システム」**(機器本体+解析ソフトウェアの組み合わせ)という概念が明示されました。
精度・性能試験もシステム全体として評価する位置づけになっています。機器単体のスペックではなく、解析ソフトも含めたシステムとして性能を確認することが求められるわけです。

(2)GNSS搭載機が正式に対象に加わった

これが今回の改定で最も大きな変化だと思います。
旧版には「GNSSアンテナを装備したLidarSLAM機器も存在するが、GNSS測位データを用いた解析手法は本マニュアルでは対象外」という一文がありました。新版ではこれが削除され、標定点による変換とGNSS観測による点群座標計測の両方が対象となっています。
具体的には、標定点の設置要件も変わりました。「GNSS観測により点群座標を計測する場合は標定点の設置を省略できる」「その場合の検証点は2点以上設置する」という規定が追加されています。
GNSS搭載型のSLAM機器を使う場合の公共測量が、より明確な根拠のもとで実施できるようになった形です。

(3)断面図データが成果品に追加された

旧版の「その他の成果データ」はグラウンドデータ・グリッドデータ・等高線データ・数値地形図データの4種類でしたが、新版では断面図データが加わり5種類になりました。
河川や道路の設計・管理業務との親和性が高い成果品が正式に位置づけられた形で、土木コンサルとしては歓迎の変更です。


(4)「検証」が「点検」に統一された

旧版では「検証」と「点検」が混在していましたが、新版では**「点検」に統一**されています(例:「点密度検証精度管理表」→「点密度点検精度管理表」)。
運用上の変化はありませんが、提出書類の名称が変わるため、様式を使い回している場合は注意が必要です。


(5)計測経路の始終点規定が柔軟になった

旧版は「計測開始位置と計測終了時の位置は同位置とする」と原則一択でした。新版は「同位置とすることを標準とする。ただし、精度・性能試験において要求仕様を満たすことが確認された場合はこの限りでない」と柔軟化されています。
現場の形状によっては始終点を一致させることが難しい場合もあるので、実態に即した改定だと思います。

マニュアルは国土地理院のウェブサイトで公開されています。公共測量でSLAMを使う予定がある場合は、令和8年3月版を確認しておくことをおすすめします。

加納

津乃峰山の洞窟でSLAM計測

2026-04-21
SLAMの点群
駐車場近くの展望台からの景色
今日は、阿南市さんのご協力のもと、テスト計測として津乃峰山の洞窟でSLAM計測を実施しました。

津乃峰神社の駐車場から階段を下りて20分ほどでしょうか。結構下りたので帰りがきつそう・・・

津乃峰山の洞窟はインターネットで調べると海蝕洞が隆起したものと出てきますが、実は人為的に掘削した採掘坑なんだそうです。
高さが1mに満たない洞窟でSLAMを持ってかがんだまま歩いて計測します。前日までの雨で奥には水も溜まっていました。
光もないしGNSS信号も届かないので、完全にレーザーによるSLAM計測です。

解析してみないとうまくつながるかが分からないのがSLAMのつらいところなので、奥のすぼんだところはiPadのLiDARアプリで補助計測をしておいて、解析がうまくいかない場合の保険にします。

駐車場まではやっぱりきつかった・・・体がなまってます。

帰社してから解析してみると、見事に合成が成功して、洞窟のほぼ全体をデジタル化することができました。

せっかくなので、今回改めて計測手法の違いを整理してみます。
これまでは地上型レーザーを使っていたようですが、このような洞窟で地上レーザーを使うと死角をなくすことはほぼ無理です。
対してLiDAR SLAMは移動しながら計測するので、死角のない計測が可能です。
洞窟がさらに小さい場合は難しくなりますが、今回のようなサイズの洞窟はLiDAR SLAMが得意とする現場だと感じました。

3次元技術は適材適所。今回もよい経験になりました。

加納

天気には勝てないので、気象情報を高精度化する

2026-04-20
今週は、ドローンやSLAMの計測の現場作業があります。
でも今週は天気が微妙で、しかも予報がコロコロ変わります・・・どうしよう

雨の中の仕事は危ないので、あんまりしたくありませんね。
何より、レーザ計測は雨が降るとその雨粒に反射して点群データがゴミだらけになります・・・

現場作業の時間そのものが短く済むので、従来測量のように雨が続くと何も進まないという状況にはなりにくいですが、
無理して雨の中で作業をすることができないので、雨の合間を見つけて現場にいかないといけません。


でも、天気予報も昔に比べると本当に精度が上がっています。
私は天気の予測にドローンのJUIDA講習の先生に、10年ほど前に 教えてもらったwindyというアプリを 使っています。

気象解析モデルはヨーロッパのECMWFというモデル等切り替えができ、1時間予報やピンポイント予報があり、標高を設定して風速を予測することもできます。
今週のような微妙な天気だと何日も先を予測するのはむずかしいですが、数日であれば、かなり精度は高い印象です。

天気はコントロールできませんが、気象予測情報をできるだけ良いものを使うことで、天気によるボトルネックは軽減できます。
建設DXは3次元だけではなく、情報活用も大事です。

加納

「大変になった」の正体は3次元化の副作用

2026-04-17

当社で経験した3次元化の失敗例3つでした。 でも記事として書いてみると、結論としては発展性があるなと改めて思いました。

3つに共通するのは、「見えるようになったこと」です。
 ・見えると気になる
 ・見えるとごまかせない
 ・見えるとイメージ共有は簡単になる

2次元では課題になりえなかったことが、業務の解像度が上がったことで、これまで目立たなかった部分が課題となりました。
ある意味では3次元化の副作用です。

でも、その副作用を乗り越えることで、これまで設計の現場で課題として解決されなかった部分を設計の段階で解決して、後の工程につなぐことができるようになったと考えるべきだと思います。

当社では、とても多くの失敗例があります。

また機会を改めてご紹介しますが、失敗の数だけ気づきがあったとも感じています。
3次元化は、まだ途中です。

加納

3次元モデルを使ったのに、何も決まらなかった打合せ

2026-04-16
打合せそのものを3Dモデルに預けない。

3次元モデルを使って打合せをしたのに、終わってみると何も決まっていなかった。
そんな経験がありました。


打合せの場では、「すごいですね」「こんな感じですね」といった反応があり、イメージ自体は十分に共有できていました。

発注者も完成形の雰囲気をつかんでくれていたと思います。
それでも、打合せが終わったとき、具体的に決まったことは何もありませんでした。


3Dモデルは、見せるだけでも場が成立してしまいます。
モデルを回転させながら、「ここがこうなります」と説明する。

それだけでも伝わったように感じます。実際、理解もしてもらえます。
しかし、そこで満足してしまうと、打合せは「分かった」で終わってしまいます。


3Dモデルを本当に活かすには、「見せる道具」ではなく「決める道具」として使う必要があります。
そのためには、モデルそのものよりも、打合せの設計が重要です。

たとえば、
・断面を示して寸法や規格を確認する。
・複数案を並べて比較し、どれを採用するか選んでもらう。
・チェックリストを用意して、項目ごとに合意を取る。

こうした準備があってはじめて、打合せは前に進みます。


これは従来の2次元で打合せを準備することと全く同じです。

「3Dにすれば打合せが具体的になる」と言われることがあります。
それは間違いではありませんが、3Dモデルがあるだけでは、打合せは具体化しません。

何を決める場なのかを明確にし、そのための資料や進め方を用意しておくことが必要です。


加納
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